大好きな伊坂さんの作品。
・・・だけど、感想が難しい。
前に読んだ『SOSの猿』もそうだけど、
完全に伊坂さんの趣味っぽいというか、
万人受けしようとしてない感じ。
(伊坂さんもあとがきにも書いていますが)
ミステリーでもないし、ファンタジーでもない。
現実と非現実が混ざった不思議な世界でした。
簡単に言うと、野球好きの両親に野球で王となるように・・・と、
「王求(おうく)」と名づけられた主人公の一生のお話。
彼は、本当に野球の天才になったけど、
天才がゆえに敬遠され、周りから妬まれ、
ついには、まともに野球をさせてもらえない状況にまで・・・
このお話のキーワードは、
シェイクスピアの名作「マクベス」に登場する有名な台詞、
「Fair is foul,and foul is fair」
訳すと・・・「きれいはきたない、きたないはきれい」
何が言いたいんだ??と思ってしまうキーワードですが・・・
最後まで読んでも、わかったようなわからないような(笑)
「Fair is foul,and foul is fair」
いいことがいい、悪いことが悪い、とは限らないってことか。
天才の一生って・・・・幸せなものとは限らないのかも?
なんとも不思議な余韻が残るお話でした。
ストーリーの舞台は、池井戸さんお得意の銀行。
企業小説かなと思って読み始めましたが、ミステリーでした。意外!
銀行員の伊木が、同期で親友の不審な死の真相を探るうちに、
銀行の不正も明らかになり、自分も命を狙われることに・・・
必要以上に人が殺されてるような気はしましたが、
緊張感があって読みながらドキドキしました。
銀行の内部事情のこと、企業間のお金の流れのことなど、
あまり知識がない私でも、
するっと理解できるわかりやすさは、さすが!
こんなことで殺人まで犯すかな?という疑問はありつつも、
先が気になって一気読みでした。
なんといっても、主人公が人間としてカッコイイんですよね。
池井戸さんの小説に出てくる主人公はみんなそうですが、
正義感が強くて、組織に流されないので、
つい応援したくなってしまいます。
そして、やっぱりちょこっと恋愛も絡んでいたり。
結末も、正義は勝つ!し、パターンは同じなんだけど、
何を読んでも読後感がいいので、安心して読めます。
ミステリー、もっと書いて欲しいです!
池井戸さんはあとは、「俺たちバブル入行組」シリーズも読みたいな♪
2011年の本屋大賞2位の作品。そして、山本周五郎賞!
これは期待できるはず☆と図書館で借りてみました。
読み始めてびっくり(@_@)
これは・・・・なんだ??
最初からちょっと変態な性描写だらけ。コスプレですか・・・?
本屋大賞&山本周五郎賞なんて・・・ほんとですか?
と、若干引き気味に読み始めましたが、
途中からなぜか引きこまれました。
章ごとに主人公が変わりながら、全体が繋がっているという構造。
最初の主人公は、助産師のお母さんと2人暮らしの高校生の斉藤くん。
ふとしたきっかけで、主婦とコスプレ関係になるわけですが・・・
第2章は主婦が主人公。
第3章は斉藤くんの彼女が主人公。
第4章は斉藤くんの高校の友達が主人公。
第5章は斉藤くんのお母さんが主人公。
といった感じで、それぞれの立場でストーリーが展開しますが、
みんな悩みが深く、重く、切ない・・・
どうしようもない「ふがいない」人たちのお話だけど、
第4章の「セイタカアワダチソウの空」を読んで、
痴呆の祖母の世話をしながら健気に頑張る福田くんに感動。。
全然救われない感じなのに、妙に爽やかで、不思議な涙が出ました。
コスプレ話が必要かどうかは別として、
どんな状況でも、おかしな方向に向かってしまっても、
生まれたからには前向きにがんばるしかないよね、と思えてきます。
いいお話ってわけではないけど、
最初のコスプレで諦めず最後まで読んでよかった(笑)
評価:
岡崎 琢磨 宝島社 ¥ 680 (2012-08-04) |
先輩からの借り本。
珈琲店「タレーラン」のバリスタ・美星と、その珈琲に魅せられたお客の青年が、
いろんな謎を解いて行くお話。
美星の影のある雰囲気とか、淡々と謎を解き明かす感じが、
ビブリア古書堂とよく似た感じ。
ミステリー好きの私としては、「このミステリーが凄い!」の隠し玉ということで
かなり期待してしまいましたが、
ミステリーだと思うとちょっと物足りないかな。
でも、美星のトラウマの謎や、最終章の展開はなかなか面白かった!
登場人物の名前が凝ってたり、
ところどころに珈琲の薀蓄が入ってたり、
ちょっと恋愛っぽい要素が含まれてたり、と、
けっこう盛りだくさんな感じで楽しめました♪
2人の関係もちょっと気になるし、
心を開き始めた美星の今後も・・・
続編あるんだろうなぁ〜。
デビュー作ってのがすごいなぁ。
友達のゆきんこちゃんがすごいオススメしていたので、
戦争ものが嫌いな私ですが、読みました!!
いやぁ~すごかった・・・・
重かった・・・・辛かった・・・
でも読んでよかった。
そんなお話でした。
太平洋戦争で亡くなったおじいちゃんについて調べる姉弟。
調べるうちにわかってくる戦争の本当の姿。事実。
それがとにかく詳細で、ほんとに戦争を経験した人から話を聞いてるみたい。
すごい取材に時間かかってるだろうなぁ・・・
戦争のことは、中途半端なことも書けないだろうし。
なんて、感情移入しつつも、冷静にそんなことを思ってました。
宮部さん(おじいちゃん)のお話はフィクションってわかっていながらも、
ゼロ戦や特攻隊の話などは、事実だろうし、
その時代のその若者たち、家族の気持ちを想像すると、
とにかく苦しくて切なくて・・・
私たちは同じ間違いを繰り返してはいけない!
って心から思いました。
一番大事なものは、国でも宗教でもなく、一人ひとりの「命」。
そんな当たり前のことを教えてくれる1冊。
世界中の人たちが、自分の命や家族の命を
大事にしてくれますように・・・
読んでよかった。
・・・でも。もう一回は読めないな^^;つらくて。
sacchimoniちゃんからの借り本。
石田衣良、小川糸、朝井リョウ、辻村深月、
山崎ナオコーラ、吉田修一、米澤穂信。なんと豪華!!
この中で読んだことないのは、朝井リョウと山崎ナオコーラさん。
ちょっと若者向けなんだろうな。
小学生~高校生くらいの若い男の子のお話でした。
テーマも少年たちの年齢もバラバラで、
それぞれやっぱりタイプが全然違うんですよね~。
短編なので、浅い感じですが、
米澤さんは短い中でもミステリーとしてできあがってるのがすごい。
ガッツリミステリー読みたくなってきた・・・
一番よかったかも♪
他の作品は、
辻村サンのは意外にさらっとしてたし、もうちょっと濃いのが欲しかったかも。
石田サンのは、うーん・・・よくわからず(笑)意味なくエロい。
朝井サンは施設の男の子のお話。ちょっと切ない。
山崎サンは、イマイチ。わりと普通の小学生のお話。
吉田サンは、ちょっと暗い影のある雰囲気のお話。
小川サンは、ほんのりあったかくていいお話。
短編読むと・・・長編が読みたくなる(笑)
ドラマにつられて買ってしまいました。
湊さんの本は、ドロドロしてて嫌だなぁ~と思いつつ、
ついつい手にとってしまうんですよね。
高級住宅地に住むエリート家族とちょっと背伸びして引っ越してきた家族。
そこで起こる殺人事件とそれを取り巻く人間関係のお話。
やっぱりドロドロ・・・家庭崩壊・・・反抗期・・・
こわっ!と思いつつも、あっという間に読んでしまいました。
さすがに殺人はないにしても、
家庭内暴力やエリート家族が抱える問題なんかは、
けっこうあるんだろうなぁ。。
やっぱり背伸びはダメだね。
身の丈にあった生活と子どもに過度な期待をしない!
それが一番(笑)
しかし、子どもの反抗期ってこんなに大変なものなのか!?
と思うとちょっと怖いなぁ。
ドラマを娘と観ていたら、すごい真剣に観てた・・・
ドラマは原作とちょっと違うところもあるけど、
なかなか面白いですね。
最後はどうなるのかわからないけど、
原作は読後感はよかったです。
(湊さんの作品にしてはめずらしく)
2012年は、50冊読了を目指していましたが、49冊!(・∀・;)
子どもたちの夏休みあたりは全然読めなかったからなぁ。
今年は50冊は読みたいな。
さて、今年の1冊目は伊坂さん♪
文庫化されたものは即買っていましたが、
積読本になってました。
ひきこもり青年の「悪魔祓い」を頼まれた男の話(私の話)と
一瞬にして300億円の損失を出した
株誤発注事故の原因を調査する男の話(猿の話)。
交互に話が展開するのですが、
最終的には繋がってる・・・という伊坂さんらしい感じ。
最初はなかなか面白い!とスラスラ読んでいましたが、
途中から孫悟空が出てくるとは・・・(笑)
現実的な話とファンタジーが入り混じっていて、
不思議なお話でした。
誤発注事故の原因が、
入力ミス→入力ミスの原因は作業者の睡眠不足
→睡眠不足の原因はお隣の部屋が騒がしかったから・・・
という真因分析にはオイオイと思いましたが(-∀-`; )
二つのお話を繋ぐ重要な要素。
孫悟空の存在は必要か?とも思いつつ、
バカバカしい感じで楽しめました。
さぁ~今年もいろいろ読むぞ☆
坂木さんの本は、『和菓子のアン』に続いて2つめ。
図書館で見つけたので、何となく借りてみました。
元ヤンでホストの大和の前に突然現れた小学生「進」。
なんと、大和の子どもだという・・・
チャラチャラした大和が、進が転がりこんできたことで、
転職して真面目に働き、徐々にお父さんっぽく
変わっていく・・・というあったかいお話。
話自体はいかにもフィクションなんだけど、
父子の関係がだんだんとできあがっていく感じは、
なんかわかるかもなぁ~と思えました。
男親にしかできないことってやっぱりあるだろうし、
なんかうらやましい(笑)
ここぞ!というときに頼りになったり、
男としての生き方を教えてくれるところは、
チャラチャラしてててもカッコイイなぁ。
最初、進がやたらとしっかりしていて、かわいげがないくらいだったけど、
だんだん子どもらしい部分が見えてきて、かわいかった♪
周りの登場人物もいい人だらけだし、
安心して読めるほのぼのしたお話でした。
続編ありそうな感じだけど、ないのかな?
だんなの本。
だんなは去年あたりから本をよく読むようになって、
東野圭吾の本をよく買ってるので借りてます♪
今年映画化されるので、急いで読まねば!
舞台は2017年の日本。
DNA捜査が発達した日本では、
全国民のDNA情報を管理して、犯罪検挙率100%を目指す。
主人公は、DNA捜査の研究員の神楽と、警察官の浅間。
国民のDNA情報を国家が管理する社会。
あり得なくもないような・・・
それで犯罪者が確実に検挙されて、犯罪が少なくなるならいいことかも・・・?
と思いきや、やっぱり国家権力って恐ろしい。
国民のためと言いつつ、政治家や官僚といった国のトップは、
自分たちを守ることしか考えないのか?
フィクションだけど、「プラチナデータ」の意味を知ると、
DNA管理社会に賛成はしたくなくなってきました。
国家権力との戦い、という点では、
伊坂さんの「ゴールデンスランバー」を思い出しました。
ハラハラドキドキして、最後はスッキリ。
映画化は、嵐の二宮くんと、豊川悦司らしいけど、
なかなかいいかも。
映画にしたら絶対面白そう♪
sacchimoniちゃんからの借り本。
以前読んだ『真夜中のパン屋さん』の続編。
相変わらず真夜中に営業する「ブランジェリークレバヤシ」。
今回のお客様は、謎多き美女。
大金を隠し持って転がり込んできた彼女は何者!?
前回は短編が繋がってる感じでしたが、
今回は全体が大きなミステリーといった感じ。
主人公が弘基というのもまた新鮮☆
弘基の男前っぷりがステキでした。
のぞみはかなり性格も丸くいい子に成長してるし、
オタクの斑目やこだまくんも相変わらずいい脇役っぷり。
すっかりキャラが出来上がってます。
ミステリーの結末としては、
ちょっと強引かな~という部分はあったけど、
真夜中のパン屋さんを舞台に、
それぞれの登場人物の過去やつながりが徐々に明らかになっていくので、
今後も楽しみです♪
ドラマ化も決定しているみたいだし、それも楽しみ〜♪
映画化もされて話題の作品。
辻村さんだから迷わず買いましたが、
辻村さんの作品の中でもかなり好きかも。
死んだ人と生きている人をつなぐ「使者(ツナグ)」のお話。
死んだ人にとっても生きている人にとっても、
たった一回だけというチャンス。
家族でもないアイドルと会うために使う女性。
癌で亡くなった母親に告知しなかったことを思い悩む男性。
自分のしたことを親友に会って恐る恐る確認しようとする女子高生。
突然失踪した婚約者を待ち続ける男性。
そして、使者(ツナグ)自身のお話。
大事な人が死んでしまってから、
言いたいこと・聞きたいことってきっと誰にでもあるはず。
それがもし叶うなら・・・とは思うけど、
幸せな結末とは限らないところが深い・・・。
突然失踪した婚約者のお話にうるっと来ました。
やっぱり、生きている間に伝えたいことは伝えないとなぁ。
どうしたって後悔はするだろうけど。
一人だけなんて選べないから、私は使えない(笑)
辻村さん、ちょっと最近ドロドロしすぎてイマイチだったけど、
久しぶりに好きな感じでした。
これ、娘も読んでました。
面白い!!と言って、さらに母親にも貸し出し中。
娘もこういう本を一緒に読めるようになったなんて、成長したなぁ~。
映画にもなっていたので、
何とな~く図書館で見つけて借りてみました。
これが、ドストライク☆
さだまさしさんの言葉・文章ってすごいですね!
人間の醜さとか汚さもドキッとするくらいリアルで、
人が過ちを犯す瞬間とか気持ちの揺れがよくわかる。
でも、全体に暗いわけではなくて、どちらかと言うとあったかい。
心が洗われました。
主人公の杏平は、高校時代に出会った友達に裏切られ、
人を「殺したい」と思うほど憎む自分に苦しんで、
心のバランスを崩し、人と関われなくなってしまった21歳の青年。
彼が遺品整理業社の見習いとして働き始めたことで、
もう一度人とのかかわりや「命」について考え、
少しずつ立ち直り前に進んでいくというお話。
この高校時代の友達松井が最低なヤツで!
人に平気でウソをつき、自分のプライドを守るために、人を裏切る。
ほんっとむかつくーーーっ!!
と思いつつも、読み進めるうちに、
なんてかわいそうな子だろう・・・と思えてきて、
むしろ、苦しむ杏平の方が幸せだと思うくらい。
遺品整理業という仕事はとても壮絶だけど、
人の死に関わることは、自分の生き方を考えることに繋がるんだろうな。
「 人は生きたようにしか死ねない。」
「 生命の重さに差はないけど、生きる重さには差があるんだよ。」
心に刺さる言葉もたくさんあって、
泣けるわけではないけど、静かにじーんと来ました。
「アントキノイノチ」というタイトルの意味は最後の方にわかります。
シャレててすごくいい♪(笑)
いろんな人に読んで欲しい1冊です。
(早速母に勧めたら、すごいよかった!!と感動してました。)
評価:
三上 延 アスキーメディアワークス ¥ 620 (2011-03-25) |
話題の本♪またまた借り本ですが、やっと読みました☆
イラストのイメージから、
勝手に内容も軽〜い感じかなと思ってましたが、
思った以上に面白かったです!
古書店の店長栞子さんと、そこで働くことになった大輔が、
古本にまつわるいろんな事件を解決していくというお話。
栞子さんが名探偵、大輔が助手といった感じ。
栞子さんのキャラが魅力的。
普段はオドオドしてるのに、本のことになると饒舌になるという・・・
そんな彼女が語る本のお話に引き込まれました。
話の中で出てくる本を実際に読んでみたくなります。
本屋さんの娘たちの名前が、「栞子」と「文香(あやか)←妹」
というのもなんかステキ☆
その他にも本の登場人物の名前が、
いろんなところでポイントとなっているのも面白い☆
このシリーズ、今3巻まで出てるのかな?
今回は借りましたが、自分でも買い揃えたくなってきました。
今後もまだまだ続きそうな気がするし。
栞子さんと大輔が今後どう進展(?)していくのかも気になる〜♪
初めて読む作家さん。
またまた先輩からの借り本です。
読みやすくて一気に読んでしまいました。
「タイニー・タイニー・ハッピー」=小さな小さな幸せ。
お話の舞台となる大型ショッピングセンターの名前がタイトル。
ここで働く男女やその家族の、平凡だけどちょっと心温まるお話でした。
8つのお話が入っていますが、
どれも恋愛がテーマなのかな。
それぞれ主人公が変わりながら、全体として繋がっています。
夫婦だったり、恋人だったり。
そんなに大きな事件や波乱があるわけではないけど、
日常の生活の中の小さな幸せにほっこりした気分になりました。
恋愛といっても、ドロドロしたところは全然なくて、
どのお話もキレイな感じ。
個人的には、お局的な大原さんが好き♪(全然脇役なんだけど。笑)
あんな女性が上司だったらいいなぁ〜。
登場人物に悪い人がいなかったせいか、
読み終わった後もいい気分♪
小さな幸せ、その辺にいっぱいあるんだろうな。
あとがきに「飛鳥井千砂は唯川恵や山本文緒のように必ず大きくなる」
と書いてあるように、まだ若いけど今後確かに人気出そうですね。
他の作品も読んでみたいと思います。